不定期コラムです。

何かしらの作品から自分の音楽活動、生活に当てはめることがあったら面白いな~という感じのコーナーになります。

ちなみに前回はスーパーメトロイドというゲームで冒険心を味わい、持ち運びドラムを始めた当初の思い出に浸っていました。
http://884drum.blog.jp/archives/26097712.html


さて、今回は本。
しかもなんと事典です。
それがこちら。



続・ざんねんないきもの事典です。
事典といっても子供も読める絵本混じりの図鑑に近いもので、林の様な普段本を読まない大人でも安心して読むことができます。

この本は、そのタイトル通り残念な進化を遂げた生き物や、残念な習性をもつ生き物たちを紹介する事典になっています。

例えば…
スローロリスは動きがスローすぎて虫にも気づいてもらえない
動きがとにかくゆっくりなサルであるスローロリス。
ゆっくりすぎて天敵に狙われたらひとたまりもないけど、その動きはエサとなる虫をとるため。
虫はすばやい動きにも反応して逃げられるけど、ゆっくりした動きは景色として見えてしまうため、その習性を利用してとるようになったそう。

おじいちゃんの握力に負けるワニ
ワニの噛む力はすさまじいけども、閉じる力は強くても開く力はものすごく弱く、握力の弱い人がつかむだけで口を開けなくなってしまう。(もちろん大きいサイズのワニは開く力も強くなります)

などなど。
「あんなに強そうな動物にも残念な一面があったのか」
と思うこともあれば
「この生き物、よくそれで今まで生きてこれたな」
と思うような、ただただ残念な子達を紹介してくれたりとバラエティに富んでいます。


■彼らはどのようにして生き残ったのか
強そうな生き物に関しては、いわゆる「ステータスの全振り」の様に見えます。
例えばドラクエの様なロールプレイングゲームで、戦士系のキャラクターがいます。
彼らは前衛で戦うために攻撃力や防御力に特化していますが、魔法を覚えることができませんし、もちろん魔法を使うためのマジックポイントも増えません。自身が魔法を使う必要が無いからですね。ひたすら殴って戦うキャラクターなので、攻撃というステータスに能力を全振りしているわけです。

同様にワニの顎も、噛む力が強ければ強いほど便利だけど、開く力は得物を捕まえたり食事をするのに特に強くある必要が無いため、そのステータスに割くリソース(力)が不要となったのでしょう。

この様に、あることに特化するために不要な力を捨てた生き物は数多く存在します。


対して、ただただ残念な生き物たち。

本当に何で今まで絶滅せずに生き残ってきたんだろうと思う習性を持っているけども、強敵から逃げてきたり絶妙に天敵のいない地域にいることで何とかやってこれている生き物が多いです。

この「何とか生き残ってこれた」というのが今回最も印象的だったテーマです。

残念と言われても、目立った強さは持っていなくても、生き残っているということはその生き方が正しかったと思っています。

本の中でも説明している通り、実はこの生き物たちは狙って進化をしたわけではありません。
生き残ったのはまったくの偶然なのです。


■選んだ道がたまたま生き残る道だった
生き残るためにある能力を得て進化した、と言われている生き物がいます。
しかし実際はそうではなくて、たまたま生き残るための能力があってそれを活かしたら生き残った、というのが多いそうです。

例えば天敵から逃げるために脚が早く進化した…のではなく、たまたま脚が早く敵から逃げ生き残った生き物が繁殖し、脚が早い種類が増えていった、というのが事実のようです。

動物は筋トレや練習なんかしませんからね。頑張って脚を早くしようとしてもそうはなりません。

自分にできる最善の対応、自分にできる精一杯のことをした結果、今日を生き残ってこれたのです。


■音楽の世界で生き残る
ここで、生き物の世界を音楽の世界と照らし合わせてみます。

どちらも弱肉強食の世界。
というのはいささか言い過ぎかもしれませんが、確かに今の世の中音楽を志す人は多いです。
界隈によっては血で血を洗う争いが繰り広げられているとかいないとか…

まず、生き残るということはどういうことか。
活動し続けることができていれば、それが生き残ることだと考えます。

知名度のあるなし、売れているか売れていないかは問いません。
ただモチベーションを保って何らかの活動を続けていれば、それで生き残っていることだと思います。
少しでも活動ができているなら絶滅していないわけなので、生き残っているのです。

それだけでいいなら、ほとんどの音楽家が生き残っているのではないか。
と思われるかもしれませんが、そううまくいかないのが音楽活動です。

バンドやユニットは人間関係や考えの相違やモチベーションの差など、あれこれ色んな問題が出てきてあっけなく活動休止したりします。

ソロで黙々活動するのは気楽かもしれませんが、孤独との戦いになりやすいです。
特にライブはせずにパソコンに向かって作曲やMIXを中心に行う人は、数日家を出ず会話も無いなんてことも…

トラブルだって少なからずあるでしょう。
活動内でのトラブルや、私生活や別の仕事のトラブルなどなど、それらの影響でも音楽活動は止まりやすいです。

あらゆる問題を乗り越えながら音楽活動を続けている人は、立派に生き残っていると言えます。


■自分が生き残る道
自分の歩いてきた道を振り返ってみます。
果たして、林は生き残っているといえるでしょうか。
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林は基本的に争いごとは苦手ですし、血の気の多い界隈はなるべく避けています。

バンド活動を始めた当初はライブハウスでライブをしていたのですが、人間関係や今後の方針などですれ違いが多くなり、一時期は完全に疲れ果ててしまいました。
そしてもっと自分のペースを大事にして、気の合う人達と無理せずに音楽はできないか。考えるようになりました。

そんな中、自分の気持ちを表すかの様にドラムのセッティングを小さく少なくするようになり、三点だけになるまで減らしてしまいました笑
そしてセッティングを減らして身軽になった時、「もしかしたらこのドラムセットなら運べるのではないか?」と気づき、それから打楽器や子供用ドラムセットを利用して、持ち運びドラムセットを組むことを始めたのです。

ドラムセットを持ち運ぶというコンテンツは、誰も教えてくれない(というか当時は音楽仲間がほとんどいませんでした)うえに、ネットでの情報もあまり豊富ではなかったため、ほとんど自分の実験企画の様なものでした。
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林は子供の頃から自分のおもちゃやゲームを持ち運ぶのが好きなタイプでした。
ゲームボーイも専用のボックスケースに収納して、家族で出かける時にはよく持って行ったりもしていたちょっと変な少年でした。

時は流れ大人になりドラムにのめり込むようになり、人間関係に揉めて疲れ果てた時、自分が本当にやりたいこと、やりたくないことは何かを見つめ直した時、自分の根っこの性格がそのまま音楽活動に反映されたのだと思います。

こうして始まった持ち運びドラマーという活動は、無理して始めたわけでもないですし、いかに楽に持ち運ぶかというテーマは考えるのもとても楽しいため、ほぼストレスはありません。

なりたくてなったというより、自分にできることをした結果がこの活動でした。

この活動を選んだことによって、林は今何とか生き残れていると思っています。


林はワニの様に噛む力もありませんし、かといって早い逃げ足を持ってもいません。

周りの音楽家達と争うような力も技術を持っていないのです。

なので争うことはせず、ドラムセットという殻を作って自分に合わないところから逃げ、好きな場所でドラムを叩く活動へ変わっていきました。
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最初は河原や路上に持って行って好き勝手練習していただけですが、クラブで叩いてみないかというお誘いを頂いたり、ツイッターで繋がったドラマーさん達とイベントをするようになったり、逃げた先にも似たような思想を持つ仲間達が多く存在しました。

もし林が偶然持ち運びドラムなんてものを始めていなかったら、ここでドラマーとしての林は絶滅し、生き残っていなかったでしょう。

それはそれでまた別の何かを始めていた可能性はあるかもしれません。
が、こうして今無理せず楽しくドラマーライフを送ることができているので、この道を選んで本当に良かったと思っています。


生き残る道というのはひとつではありません。
違った道を選んでいても、それで生き残っていればその道は正解です。
踏みとどまって休んでも、またゆっくりでも進み始めていけばその道も正解です。

活動さえ続けていけば、自分の様な生き物でも生き残っていけるのです。



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